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君はマリオネットなんだよ。 舞台裏の台本、積み重ねられた資料、その最果て。
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向こうでのこと。


以下若干汚くてグロいです。
出来損ないとか嘔吐とかなかなか書いてたこっちがきつかtt(
 



「失敗してもいいから、やってみなさい」

そう親父は言った。
だから俺は躊躇いなく、魔法を発動させた。

出来たものは、機械の、塊。
声を上げなかったそれは、形こそナノスであったけれど、
ただの、ぼくがつくった、ガラクタだった。

「最初にしては上出来だな」

父は感慨深げにそう言った。
けれど俺は全身から汗が噴き出してきて、段々寒気すらしてきた。

つくった?ぼくが?これは、ナノスではない、ただの、入れ物。
ソレンティアで見てきたナノスとは違う、ここで見るナノスとも違う。
動かない、形。
まるで死体みたいだ。

死体みたいだ。・・・死体なのか?
・・・いや、死体というものは、一度生を受けそれから命を落としたものだ。
これじゃない。

俺がつくったものじゃない。

「ロゼ、少し休もう」

とん、と肩を抱かれて身体がはねる。
白衣を、脱いだ。
鼻が薬品で歪んでいたのに気づくのは、少ししてからだった。

懐かしい味のする温かい紅茶と、すあま。
以前の家族のような生活に戻った、と言えなくもない。
少なくとも家族を構成する面子は変わっていない。

親父は親父で、俺も俺で、カレンもカレンだった。
カレンは少しバージョンアップしたかも知れない。
俺が居なくなって半年ほどだが、あまり変化はないようだった。

一番変わったのは、俺ということか。

「ロゼ、どうだ、ソレンティアは」
「そう、だね、面白いよ。色んな種族がいるし」

やはり一番気になったのはナノスだったけれど。

そう言ったら親父は笑った。

「血は争えないか」

それがなんだか酷く滑稽で、だって親父は俺を作ったと言っていない。
匂わせたことはあっても肯定していない。否定もしていないが。

「ロゼ、私はお前に期待しているよ」
「うん」


その後程なくして吐いた。


先ほど見た光景が目の前に何度も何度も広がって、
あの時莫迦になってたはずの鼻に匂いが甦る。
気持ち悪い。気持ち悪い。
すあまが喉を逆向きに通っていく。
あんなに美味しかったのに。勿体無い。

失敗したのに親父は咎めなかった。
何故?親父も同じ道を辿ったからだ。
親父は幾つ失敗を重ねてきたんだろう。
・・・いくつ出来損ないができたんだろう。
何を以って出来損ないとするのか?
ナノスにフォウスは何を求めているのか?
ただの仕える人形か?ソレンティアに居たような感情を持つ人形か?

ソレンティアの光景と、さっきの光景が斜めに横切る。
酷い。世界が違えばここまで違うのか。
また、嘔吐。
もう胃に何も入っていないのに、胃が気持ちが悪いと叫ぶ。

過剰反応だ。この身体は俺よりも弱いのか?

俺をここまで作り上げたのはこの身体だからこそなのに。
俺は俺なのに。

期待されている俺、望まれている俺、レールが敷かれているとでも誰か笑うのか?
上等だ。俺が望んだ。意地を張る理由なんてない。これは、俺の。

手の甲で口を拭った。
眼の端で赤を捉えた。

「よし。」

(さようなら昔のロゼ。)
 

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